気ままな日々

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お別れ

一昨日、叔父の告別式に参列した。
荼毘にふす前の最後のお別れの時だった。
「最後のお別れです」と係りの方が棺の窓を開けた。
60年近く連れ添った叔母は御歳85歳。背も小さくなり台に乗った棺は頭の上の高さ。
足も腰も悪く、息子さんに支えられやっとの思いで椅子の上に立ち、じっと亡き夫の顔を見つめる。





すこしの時間のあと、小さい声で丁寧に夫を見つめながらゆっくりと話しかけた。

「長い間、ありがとうございました。
もっとお話ししていたいけれどあなたはあまりお話しが好きではないからこれくらいにしておきますね。
ありがとうございました。    じゃぁ...ね。。。」

思わず感動の涙が溢れ、静かな時間が流れた。

・・・やはり「さようなら」ではないんだな・・・

今もその叔母の姿を思い出すと感動の涙が溢れる。

叔父は亡父の弟。
わたしが小さなころからよく遊びにいらしていたのでわたしの中にも在りし日の叔父の精悍な表情や笑った顔や怒った顔が鮮明に残っている。
その大きかった叔父が小さくなって棺の中に収まっている。
これが最後のお別れ。
もう二度とその顔を見ることはできない。
80余年の人生の60年近くをともに過ごしてきた叔母の中には、きっと若かりし頃からのさまざまな人生の場面が走馬灯のようによみがえっていたに違いない。


精進落としのとき、斜め前に座っていた叔母はさまざまな思い出を語りながらしばしばそっと涙をおさえる。
60年。何と長い、思い出の詰まった時間なのだろう。
60年近くも生活をともにしてきた夫との別れは共有した人生そのものとの別れと感じるのではないだろうか。
同じ思いを持っていた人がいなくなる。
あの時の思いを共感できる人がいなくなるということが一番の悲しみなのだろう。
誰も代わることのできない存在の喪失。
今叔母はどんな気持ちでいるのだろうか。
どうかお食事をとって、生きる力をつけてほしい。

故人の遺志で家族と親族のみの心からのお別れはとてもよい時間だった。
by 1212jeff | 2011-10-25 17:46 | つれづれ(free)