気ままな日々

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小説 日本婦道記 山本周五郎

小説 日本婦道記 山本周五郎_b0211899_1601411.jpg3月11日以来、本をもっても心ここにあらずで、なかなか開くことができませんでしたが、やっと29冊目が読み終わりました。

一つの作品に魅かれると、その作家さんを追いかけて読み進むというのが私のスタイルです。あるとき自分の傾向に山本周五郎賞受賞作品が多いことに気づきました。4月2日に記した熊谷達也さんの「邂逅の森」もその一つです。他にも「エトロフ発緊急電」佐々木譲、「火車」宮部みゆき、「閉鎖病棟」帚木蓬生、「奪取」真保裕一、「エイジ」重松清、「君たちに明日はない」垣根涼介、「明日の記憶」荻原浩、「果断 隠蔽捜査2」今野敏など、どれも今思い出してもワクワクしたり、ジーンとしたり、その時の感動がよみがえります。
ところが本家本元・山本周五郎さんの作品は一つも読んでいないということに気づきました。調べてみると「小説 日本婦道記」は、直木賞に推されるものの受賞を固辞したことが分かり、まずはこれを読んでみようと思ったのです。

太平洋戦争が始まった翌年昭和17年(1947年)の作品。戦時下であったため、用紙事情も厳しく、無駄を省いた表現に、より磨きがかかった作品になったそうです。11の短編からなるさまざまな家族の物語。悲しいほど切ない家族を想う女性。それを想う夫や子の姿。凛とした女性を見た作品もありました。とてもよかったです。この作品には題名からの誤解が多々あったようですが、それは解説にありますのでそちらをお読みくださいね。私もはじめは????とそのような違和感(誤解)を持ちましたが、読み進むうちに著者の伝えたいことが素直に入ってきました。そして、解説を読み、山本周五郎さんの作家としての矜持を知るところとなり、もっと山本作品が読みたくなりました。
by 1212jeff | 2011-04-13 16:03 | 本・よむよむ(reading)